『ラーマーヤナ』の世界
あるとき、ラーヴァナという悪魔が、凄まじい力を得て神々を苦しめはじめた。そこでヴィシュヌが人間の姿に化身して地上に降り、この悪魔と戦うことになった。
ヴィシュヌはコーサラ王国の第1王子ラーマとして生まれた。母は第1王妃であった。強く、賢く、美しく生まれついた彼は、成長してジャナカ王の娘シーターと結婚した。実はシーターはヴィシュヌの妻ラクシュミーの化身であった。
だがラーマとシーターは、第2王妃の陰謀により、森で暮らすことになってしまう。
あるとき、ラーヴァナの妹シュールバナカーが森の中で出会ったラーマを見初めた。そして、彼にいい寄ったが、ラーマはシュールバナカーの恋心を拒絶した。彼女は逆上し、兄ラーヴァナにシーターを奪うようにそそのかした。これが功を奏して、シーターはラーヴァナの手に落ちてしまう。
ラーマはさらわれた妻シーター救出のために、国を追われていた猿の王を助けるのと引き替えに、猿たちの協力を得ることに成功した。そして猿の軍団を率いる将軍ハヌマーンの活躍によって、シーターがランカー(スリランカ) にあるラーヴァナの居城に幽閉されていることを突きとめたのだ。
その後、ラーマは猿の軍団とともに敵地に攻め入り、見事にラーヴァナを打ち倒してシーターを救い出すのであった。
こうしてシーターを奪還したラーマはコーサーフ国に戻り、国を挙げての歓迎の中、王位につく。
だがそれと同時に、国内には不穏な晴が流れた。
人々が、ラーヴァナに長期間、幽閉されていたシーターの貞節を疑いはじめたのだ。ラーマの心して、シーターを追放してしまう。
森の中の聖者の庵で、シーターはラーマの子である双子を生む。これを知ったラーマは彼女のもとへ駆けつけた。
そしてシーターに、双子が本当に自分の子であるかどうか、証明するよう迫ったのだった。シーターは静かに答えた。
「この子たちはあなたの子です。もし私のいうことが真実なら、大地の神が私を受け入れてくれることでしょrつ」 その直後、大地はみるみるうちに割れて、大地の神がシーターをその中に飲み込んだ。神は、シーターの貞節を認めたのである。だが彼女は、その証明と引き替えに、命を失ったのだ。
大地に消えた妻を見て、悲しみにうちひしがれたラーマは、二度と新たな妃を迎えようとはしなかった。そして、シーターを思いながら天に帰っも疑いに揺れた。そして、ついに人々の声に同意たのだった。